【この記事にはパッチ5.4のネタバレが含まれております。】
癒やされつつも、不穏な空気がまとわりつくストーリーだった5.4。
このパッチで、ファダニエルのあの単語に「その横文字なに!?」と思ったのは私だけではないと信じています。
今回はそんな疑問から始まり、5.4タイトルとアチーブメントの関わりや、「テロフォロイ」が示す意味、メインクエストの日英表と一部に関する余談を書いていきたく思います。
(記事の元になっているのはマリのふせったーであり、この記事は一連のツイートの体裁をまとめたものとなります)
パッチタイトルとアチーブメントの関係
パッチが来る前に、タイトルに対しての考察ツイートをしておりました。こちらをご覧ください。
そういえば「もう一つの未来」は英語だと"FUTURES REWRITTEN"でしたね。
"FUTURES"、と複数形が使用されていることで、第一世界と原初世界両方の「来るはずだった悲痛な未来」が英雄たちによって改めて描き出される感じが伝わってきます。— Mari(FF14英語考察&更新通知) (@mari14th) December 8, 2020
「もう一つの未来」という語だけでは「人の手によりもたらされる」という含意が存在しません。極論をいえば「自然と訪れる予定とは違う未来」だったり「また別の未来 (an another future)」と捉えられます。
英語では「書き換えられし未来」となるので、力の作用点を感じさせられるのが面白いですね。
— Mari(FF14英語考察&更新通知) (@mari14th) December 8, 2020
このとき、私自身は「"rewritten"の実質の動作主は結局誰なんだろう」と疑問に思っていました。
そしてアチーブメントの名前は"WRITER OF HISTORIES"。
コンプリートクエストの詳細を見ると
「努力の甲斐あり、エオルゼアの永き平和はもたらされたと見えた。だが影は落ち、星の未来はまだ書き換えられないままだ(英文雑訳)」
とされていて、
- "Futures Rewritten"
= 「書き換えられた(惨劇を回避した)はずだったエオルゼアの未来」- "Writer of Histories"
= 「『これから』歴史を描く者=ヒカセン」
ということで「書き換えられた未来("Futures Rewritten")」というフレーズに不在だった動作主が光の戦士であることが明確になったのではないかと思います。
ファダニエルが自称した「テロフォロイ」とは
光の戦士と未来を書き換え合おうとするファダニエルの残した「我ら、テロフォロイ」という言葉。
あまり情報が見つかりませんでしたが、おそらくコレだ!(注:英語)というものをご紹介します。
まず、テロフォロイは"telophoroi"という語であると思われ、ギリシア語由来の単語です。
構成するのは以下の二つで、
- telo = 「完全」「終わり」
- phoroi = "phoros"の複数形。「運ぶ者」「実らせる者」
を繋げた単語である、というのが有力です。(上記の一件しか完全な単語としての表記が見当たりませんでした。)
訳すなら「終末を運びし者たち」あたりでしょうか。
台詞を見たときは"terror"の方かと思ったんですが、違うようでした。
メインクエスト日英表
日本語 | 英語 |
---|---|
アリゼーの志 | Alisaie's Quest |
アラグの研究者 | The Wisdom of Allag |
ノアの仲間たち | Reviving the Legacy |
想いよ届け | Forget Us Not |
仲睦まじき師弟 | Like Master, Like Pupil |
提督の決意 | The Admiral's Resolve |
首領代行シカルド | The Search for Sicard |
荒波を撃ち抜く弾丸 | On Rough Seas |
バイルブランドの船出 | The Great Ship Vylbrand |
もうひとつの未来 | Futures Rewritten |
- アリゼーの志:Alisaie's Quest
"quest"は「見つけ出すことが難しいものを探求すること」。
今まで成し遂げられなかった「テンパードの治療法を探す」という内容にぴったりな語彙かと思います。
ついでに「テンパード(tempered)」は「(怒りやすいなどの傾向があるという意味での)気質」を意味します。元の単語は"temper"で、「温度」を意味する"temperature"の語幹です。
この"temper"は古英語では「(適切で安定した状態に)調整・配合する」意味合いがありました。テンパード化は、蛮神から見た「生物の属性を都合のいい形で配分すること」と考えれば、納得できそうなことばですね。
- アラグの研究者:The Wisdom of Allag
直訳すると「アラグの英知」でしょうか。比喩的な表現です。
- ノアの仲間たち:Reviving the Legacy
"revive"は「(長きにわたって忘れ去られていたものを)蘇らせる」。"legacy"は「(過去から現在に伝わる)遺産」。
日本語を加味するとグ・ラハから見た「懐かしい仲間たちとの絆」であり、同時に情報システムが保管していた「古代アラグのレポート」を示しているのかと思います。
- 想いよ届け:Forget Us Not
"forget us not"は「私を忘れないで」。転じて「勿忘草」。(素敵!)
ガ・ブのテンパード化を解除できたのは「アリゼーが抱いた、ガ・ブへの強い想い」と「ガ・ブ自身の、両親やアリゼーを始めとする優しい人々を忘れない強さ」から。日本語と英語のタイトル両方があわさって、輪郭を作る素敵なお話でした。
- 仲睦まじき師弟:Like Master, Like Pupil
意訳で「この師にして、この弟子あり」とでもすればいいでしょうか。
似るのは仲がいいからですね。アルフィノの余計な一言がとても好きです。
- 荒波を撃ち抜く弾丸:On Rough Seas
「荒波の海で」といった具合の言葉です。決闘をイメージさせてくれるのは日本語だけでしたが、一筋縄ではいかない状況なのが伝わってくる単語だと思います。
まとめ
ここでご紹介したアチーブメント以外にも、メインクエストで取得できるものは、ストーリーをやわらかく例えたような語が多く存在している印象があります(そのうち調べあげたい!)。
日本語にも、英語にも制作側の気持ちがこもった言葉が使われているのが、FF14を素敵な作品たらしめている一つの理由といえるでしょう。
また、ぽっと出てきて場をかき乱し始めたファダニエルの今後の活躍がとても気になる展開でした。「テロフォロイ」がどんな風にヒカセンを苦しめていってくれるのか、とても楽しみです。
今パッチのメインストーリーについてのお話は以上となりますが、8人レイド・エデンの英語関係の考察ページもございますので、ご興味があれば以下もどうぞご覧ください。
