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日英セリフ比較:エメトセルク編【5.0ネタバレ】

日英セリフ比較:エメトセルク編

【注意】この記事は5.0のネタバレを含みます。

  5.0でプレイヤーの心を大きく抉った、エメトセルクの台詞を日本語と英語とで見比べてみる記事です。
  ゲーム中の一部台詞を抜粋し、日本語と英語とを並べて、英語の台詞全体の意味・話し方・日本語とのニュアンスの違いなどを見ていけたらと思っています。
  英語学習者であるため、当然完璧な解釈とはいきませんが、ことばの雰囲気の違いを楽しんでいただければ幸いです。

台詞集(日・英→日本語)

  今回は一つのクエストの台詞を部分的に取り上げていますが、他に気になる台詞が出てきたらぜひご紹介したく思っています。直訳と意訳が混ざることをお許しください。

5.0メインクエスト【漆黒のヴィランズ】より

  ――拐かされた水晶公を取り戻すためにアーモロートに乗り込んだ光の戦士一行を、エメトセルクが迎えるシーン。

「困りますねぇ、見学者様。厳粛な場だ、規約は守っていただかないと。」

"This really is unacceptable. I gave you very specific instructions."

→試訳:「本っ当に許容しかねる。厳密に指示してやったろうに」

  "This is really unacceptable."が通常の文章構造のはずですが、"really"を倒置することで「本当に」のニュアンスが強調されています。
  日本語の持つ嫌味ったらしい空気はありません。

「そんな半端な……水際で力を抑え込んでいる状態では、何の役にも立ちやしない。」

"Not this half-broken...thing. Whatever am I to do with you?"

→試訳:「こんな半分壊れた…ものではだめだ。(そんな)お前と何を成そうというんだ?」

沈黙のあとで"thing"を使うことで、「本来は人と呼びたくて躊躇しながらも、物扱いしている」感じがあるのかなと思われます。"what(何)"ではなく"whatever(何でも、どんなことでも)"が使われているので「何を成そうと?(いや何もできまい)」と日本語の意味に近づけました。
  「半端である」という以上に、希望のない状況だとエメトセルクが認識している様子が伝わってきます。

「しかも、まだそいつらとつるんでいるとは。どうせ敵になると忠告しただろう……そんなに寂しいかね。」

"And I see you insist on keeping the same familiar company. Are you so lost without them?"

→試訳:「しかも、変わらず仲間たちを傍に置きたくて仕方ないようだな。彼らなしでは、そんなに寂しいかね」

  「敵になる忠告」が英語版には不在です。また「光の戦士は仲間にご執心で仕方がない」といった、エメトセルクの嫌味と呆れが表現されています。
この"lost"に関して小さな考察をしているので、5.3アチーブメントのネタバレを含みますが興味があれば以下もどうぞ。

「まあ、今さら隠すまでもない。私たちの本懐は、まさにそのとおりだ。」

"Weeell, there's no point trying to hide it. Yes."

→試訳:「まあ、隠す理由もない。そのとおりだ」

  "weeell"が日本語の「まあ」以上に仰々しい言い方になっています。「私たちの本懐」がなくなっていますが、日英ともほぼ同じ意味です。

「すべての世界を統合することで、力を取り戻したゾディアークが、封印を破って復活する。」

"Once the rejoining of worlds is complete, Zodiark will regain His full strength and shatter His prison."

→試訳:「ひとたび世界の再統合が完了すれば、ゾディアークは力を取り戻し、封印を破ることとなる」

大文字から始まる"His"が使われていることで、アシエンがゾディアークを「唯一神」のように扱っていることが伝わってきます。

ここまでエメトセルクを追ってきた光の戦士から「お前を止める」と聞かされたあとで:
「ああ、なるほど。かろうじて理性があるうちに、私を討とうというのか。」

"Did you now? One last do-or-die attempt to foil my plans before your mind dissolves into madness?"

→試訳:「ほう? やるか死ぬかの瀬戸際にあってなお、正気を失う前に私の野望を挫こうというのか」

  "did you now"の訳に困窮しましたが、「驚き」や「怒り」などの感嘆詞代わりに使う場合が多いので、場面に合わせた表現にしました。英語の意味を汲んで、より直訳調にするなら「やるか死ぬかのぎりぎりの者が、精神が狂気に霧散する前に、計画を挫こうと試みようというのか?」になるかと思います

「さすが英雄様だ……。本当に…………」

"How very, very...heroic of you."

→試訳:「なんとまあ、本当に…勇ましい」

  "heroic"は"hero"(ヒーロー)から派生した言葉で、「英雄らしい勇敢さだ」という表現となります。日本語と同じで、少し皮肉の入った台詞です。「あの人」と重ねて懐かしさも覚えていたりするとエモいですね。

「アシエンに逆らう奴は、いつの時代もそんな調子で厭になる。」

"In every single age, there is always someone who wants to stand up to the evil Ascians."

→試訳:「どの時代をとっても、毎度、悪しきアシエンに立ち向かう『奴』がいる」

  「厭になる」に対応する箇所はありませんが、自分たちのことを"evel Ascians"と悪者扱いすることで、先の台詞と同様に皮肉交じりのことばになっています。

「自分たちの主張こそ正義であり、世界は自分たちのものであると……傲慢にのたまうんだ。」

"Always the same arrogance, the same insistence that the world belongs to them. As if theirs were the only rightful claim, theirs the only existence worthy of preservation!"

→試訳:「毎度変わらぬ傲慢さ、意見の一点張りで、世界は自分たちのものだという。まるで奴らの主張が唯一正しいものであり、奴らこそが守るに値する唯一の存在であるかのように!」

"the same"と"theirs (were) the only"が2つずつ並び、エメトセルクの吐き出す苛立ちの強さが伝わってきます。日本語のセリフは呆れの色の方が目立って見える気がします。

「私を見ろ……! ほかの誰よりも長く、お前たちに交じって生きてきた!」

"Look at me! I have lived a thousand thousand of your lives!"

→試訳:「私を見ろ! お前たち(なりそこない)の人生よりも遥かに長い、途方も無い時間を生きてきた!」

  「長く生きてきた」と同時に「なりそこないの歴史を見てきた」という意味になるのかなと。
  ここでも同じ言葉を使っていて、暗い感情の片鱗がうかがえます。

「ともに飯を食らい、戦い、患い、老いもした。傍らで死を見送り、ときには子を成したことさえある。」

"I have broken bread with you, fought with you, grown ill, grown old! Sired children and yes, welcomed death's sweet embrace."

→試訳:「ともに飯を食らい、戦い、患い、老いもした! 子を成し、当然、死の甘い抱擁も受け入れてきた」

  一つ目の文章はそのままの訳で良さそうなので、日本語版の通りです。ただ、英語ではここでも反復した表現を使って"with you"を強調しています。"death's sweet embrace"は英語詩などで描かれていることがあるようですが、いい訳が出てこないため仮です…。
「人々の死を甘んじて抱きしめてきた」というニュアンスでしょうか…。

「そうして幾度も測り、その度に判じてきたのだ! お前たちは愚かで、弱く、この星を護って生きていくには足りないと!」

"For eons have I measured your worth and found you wanting! Too weak and feeble-minded to serve as stewards of any star!"

→試訳:「長い時をかけてお前たちの価値を測り、足りぬと判断したのだ! あまりにも弱く、星を護る役目を担うにはあまりにも愚かなのだ!」

  ほとんど似た意味合いになるかと思います。ただ、日本語が「幾度も」と回数を語る一方、英語では「長い時」と時間を語っています。

「……お前たち自身、罪喰いやヴァウスリーとの戦いで、散々思い知ったばかりだろう?」

"Have your recent spats with Vauthry and his sin eaters taught you nothing?"

→試訳:「ついこの間のヴァウスリーや罪喰いとのいさかいがあってなお、何も学んでいないのか?」

  日本語よりも嫌味! より詳しい一言は次に続きます。

「己の無力を……他者の傲慢を……
その命の脆さと……ゆえに生まれ続ける悲しみを……!」

"Have you not learned that your ignorance and frailty beget only endless misery?"

→試訳:「己の無知と命の脆さが、終わりなき不幸をもらたらすほかないということが、まだわからないのか?」

  前文に引き続き"have you"から始まる文章で、文中に"taught you nothing"と"not learned"の否定語句が入ることで「まだ~できていないのか?」と辟易しながら話している様子が見て取れます。

「なあ、本当に……いつまでそんなことをしている? どれだけうんざりさせたら気が済むんだ!」

"How long do you mean to perpetuate this farce? How much more must I endure your bumbling interference?"

→試訳:「いつまでこんな茶番を続けるつもりだ? いったいこれ以上、どれだけお前たちの不用意な邪魔に耐えなければならないんだ!」

  直訳調が強くなりましたが、英語でのエメトセルクの言葉には、日本語よりも可視化された感情が数多く存在していることがわかるかと思います。
  また"perpetuate"は「(特に悪い状況をもたらし)続けること」なので、前文の内容にハッキリとリンクしています。

「世界に再び終末が訪れたときに、人類の半数が自己犠牲に身を投じることができるか」と聞いたあとで:
「いいや、できるわけがないッ!」

"Of course they wouldn't!"

→試訳:「もちろん、するわけがない!」

  英語では「できる」ではなく「する」と意志について言及しています。

「お前たちだって、世界を見てきたなら、できるだなんて言えないはずだ!」

"And if you had witnessed history unfold as I have, you would reach the same conclusion!"

→試訳:「もし『お前たち』が『私』と同様に、歴史の顛末を見てきたなら、『同じ』結論にいきつくはずだ!」

  これまで「お前たち(なりこそない)」について厳しい怒りをぶつける言葉が続きましたが、英語版であっても日本語版と同じく「お前たち(光の戦士一行)」については、認めていることがわかります。

「私は必ず、同胞を、友を、善き人々を蘇らせる。世界は……私たちのものだ。」

"I will bring back our brethren. Our friends. Our loved ones. The world belongs to us and us alone."

→試訳:「私は同胞を取り戻す。我らが友を。愛した者たちを。世界は私たちの、私たちだけのものだ」

  決して「お前たち」のものではない、という宣言です。

アルフィノに「仲間を守ろうとしている点では光の戦士一行もエメトセルクも本質は同じだ」と言われたあとで:
「同じでなど、あるものか。お前たちのような『なりそこない』より、生きるべきは、完全なる者だ……。

"You think us the same? You think your tattered soul of equal worth to those / lost?"

→試訳:「同じだと思うのか? お前たちのずたずたの魂が、亡き古代人のそれと等しい重みにあると?」

  意訳ですが、結論は日本語と同じで「古代人の魂こそが生かされるべきだ」ということです。ただ、英語では疑問文を続けることで遠回しで、負の湿度が感じられる言葉遣いになっています。
  また"tattered"は「(布などが引き裂かれ)ずたずたになった」という意味で、分かたれた魂のことを指しています。

「違うと言うなら、証明してみろ。お前たちが私たちよりも強く、残るべき存在であると。」

"Then come--earn your place. Prove yourselves worthy to inherit this star."

→試訳:「ならば来て、掴め。この星を引き継ぐのに『ふさわしい』ことを証明してみろ」

  "earn one's place"で「重要であると認められる」のような意味となりますが、ここでは「(自分が存在するための、自他共に認める権利を)掴む」感じかと思い意訳しました。

「終末の災厄……私たちの時代の終わりにして、我が執念のはじまり。」

"Behold, the coming oblivion. 'Twas the end of our era, and the beginning of our great work."

→試訳:「見よ、来る忘却のときを。私たちの時代の終わりにして、偉大な計画のはじまり」

  より意訳するなら、「ご覧あれ、遠い過去、忘れ去られた災厄を」といったニュアンスだと思います。また、"great work"は直訳すれば「大きな仕事」となりますが、「計画」の方が似つかわしいかと考えました。
  日本語では「我が執念」と、エメトセルク自身の感情を全面に押し出していますが、英語ではあくまでもアシエン全体のことを指しています。

「お前たちを測るため、今ひとたびの、再演といこうじゃないか。」

"A fitting backdrop...for your final judgement."

→試訳:「似合いの場面だ…お前たちの最後の審判にふさわしい」

  "backdrop"は「(劇場などの)背景」を表すので、日本語の「再演」に合わせた訳としてみました。

「私は、最奥で待つ。預かっている強情なお友達が、苦痛で壊れる前に来いよ?」

"I shall wait within, but do not spend too much time on your preparations. There's no telling how much longer the guest of honor will last."

→試訳:「私は中で待つ。だが、用意にあまり時間をかけるなよ。お客様がいつまで保つかなどわからないからな」

  "guest of honor"(誉れ高い客人)と皮肉を込めた嫌な言い方をしています。日本語も大概だけれど、英語もほのめかしがあってエメトセルクらしいことばの選び方です。

まとめ

  文学は全くわからないのですが、漆黒秘話にシェイクスピアが垣間見えるなど、エメトセルクには舞台の演者のような、俯瞰したキャラクターのイメージがつきまとっています。
  日本語でも英語でも、そのイメージをまといながら、自身の人間らしい感情をぶつけてきたのがこのクエストでした。改めて英語で見てみると、日本語のセリフだけではわからなかった「ことばの裏側」までもが伝わってきて面白いですね。
  さらに英語では日本語以上に感情表現が豊かで、苛立ちや呆れなどが数多く表現されていました。同じキャラクターのセリフでも、言語が違うだけで意味合いが変わってくるのは興味深いところです。

  今回は一つのクエストのみを抜粋してご紹介しましたが、今後また気になるものがあればぜひシェアしたく考えています。
  また「この台詞は英語版だとどうなってるの?」と気になるものがあれば、twitterコンタクトフォームよりお伺いできると嬉しいです。
  少しでもお楽しみいただけたなら幸いです。